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閃光
第1章 閃光
真翔は既に、かつての恋人の面影を凛に求めてはいない

鋭い目つきで冷たく拒絶する凛を
でも本当は寂しがりで怖がりな凛を
たった数時間、たった数回言葉を交わしただけなのに
死という運命を共にしているからなのか………とても愛しく感じる

もしこの状態で発見されたら
悲恋が生んだ心中だとされてしまうのだろうか
恋人でも何でもない
素性も何も知らない
ただ、一緒に死ぬだけの相手……



「……ぁ、…あぁ…ん、…」

緩く甘く漏れる細い声
凛が真翔を包み込み、離したくないと何度も締め付ける
それは本能なのか、それとも……

焦点の合わなくなった凛の瞳光が、静かに揺れ
重たそうにゆっくり、瞼が閉じる


「……もぅ、…限界……」


荒い息を吐きながら、気怠そうに凛の唇が微かに動いた
そんな凛の前髪を、痺れる指で搔き上げる

「……俺も、だ…」
「真翔…」

凛の瞼が、ゆっくり半分持ち上がる
胸と胸を合わせ、凛の綺麗な瞳を間近に捕らえる


…苦しいのだろう……
半分程開かれたその柔らかい唇を、愛おしむ様に塞ぎ、貪る



恋人と別れてから
暗闇の中を彷徨っていた
たまに現れる小さな喜びの光は
真翔の足元を少し照らすだけで
すぐに儚く消えていく


もし、未来を明るく照らす光を見つける瞬間があるとしたら

それは……今、なのだろうか……?




……はぁ、はぁ、はぁ


真翔から心地よく力が抜けていく
頭が痺れ
手足も痺れ
ただ、繋がった所だけが熱く漲る


真翔の背中から、たらりと凛の手が落ちる
その手のひらを握り、指を絡める


腰を打ち付ける度
上下に揺れる凛が、小さく掠れた声を漏らす


「………逝、く…」
「…逝こう、一緒に……」






ドォーン!

闇を切り裂くように音を鳴らして上がる光が
瞬きする速さで開き
闇夜に美しい煌めきを見せる



凛の指に絡めた真翔の指が
ぴくり、と痙攣する



……解っていた


死が齎したこの閃光も、また幻……

一緒に生きよう、というのは
野暮、というものである



大きな音と激しい光を放った美しい花火は、ちりちりと儚く消え
闇にまた、静寂が戻る


そして、終わりを告げる音のない閃光が数回
闇を眩しく照らし



……静かに


消えた






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