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逆転 (大人の教育をしてやるよ!)
第2章 くちヅケ

朝の職員会議が終わり紅葉は鍵を持って第二音楽室に向かう。

第二音楽室は音楽室の隣にあり、普段は吹奏楽部が使う楽器や楽譜、CDなどが置いてある。

音楽の授業は音楽室でするので、教師である紅葉は休み時間は第二音楽室で待機することにした。


『できるだけ他の教師達に深入りしない方がイイよね!?』


話しているうちに、ついボロが出るかわからない!

紅葉は鍵を握り締めて渡り廊下を歩く。



***



階段を昇り音楽室の扉の前で立つと、持っている鍵を開けて扉を開けようとしたその時!


ーガシッ…!

「きっ……!?」


突然後ろから誰かが紅葉に抱きつき、口を塞がれて音楽室に入り口を閉める。


「んーーっ!、んーーっ!」

「安心しろ、俺だっ!」

「ん!?」


耳もとで聞き覚えのある低い声が聞こえた。


『…この声!』

「手を放すぞ。大声出すなよ?」

「ん。」


紅葉はコクリと首で小さく頷くと、口を塞いでた大きな手はゆっくり放れていった。


「狼谷君!?どうして…」

「陽介だ!」

「っ、陽介お兄ちゃん…どうしてここに?」


手を放れて紅葉は後ろを向き陽介を見る。

陽介は眉間にシワを寄せて不機嫌そうな顔をして低い声で話す。


「…さっき、グランドに来てたな?」

「…!ご、ごめんなさいっ少し気になって……」


無断で野球部を観た事を陽介は怒っているのかもしれない…と紅葉は思い謝る。


「若林と仲良く話してたな?」

「…え?」

「その後、サッカー部員達とも仲良かったな!」

「そうですか?私は普通に話してただけですが…」


一体陽介は何が言いたいのか紅葉はサッパリわからずキョトン…と陽介を見る。

キョトン…としている紅葉を見て陽介はイライラしたように頭をクシャクシャかき、ため息をつくとニヤリッと笑い…


「まぁいい、今から特別講習としよう!」

「…ッ!?」


獲物を捕らえた鋭い視線が紅葉を捕らえる。
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