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第9章 　決別の決心

「えっ？」
　いきなり脚を開かれ、愛撫もなしで挿入してくる。
　まだ濡れていない秘陰に、痛みを感じた。
「ヤっ、んんっ……」
　それでも、抵抗出来ない。
　私は両手を広げて、シーツを掴んだ。
　まるで、神の審判が下ったよう。
　ずっと、和哉を騙していた。何も言わずに。
　彼が深く訊かないのをいいことに、全てを誤魔化して、幸せになろうと思った。
　それは、私の罪。
　自分はいつか忘れることが出来たとしても、過去は絶対に消えない。
「はぁっ……」
　激しく繰り返される抜き挿し。目を閉じ、ジッとしていた。
　セックスならどんな状況でも感じると思っていたが、それは違う。
　和哉は、怒りをぶつけている。あんなに優しい彼が。
「梨香っ……」
　暫くして、中に放出される。
　息を乱している彼から離れ、脱がされた服を持って自分の部屋へ行く。
　もう、戻れない。
　幸せだった日々には。
　最後に神様がくれた、束の間の日々。
　下着をつけ、パジャマを着る。和哉のザーメンが流れ出るから、買ってあった生理用品を着けて狭いベッドへ入った。