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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第2章  裏の世界


 この店のみんなが、同じようにして稼いでいる。そう考えると、罪悪感も無くなっていった。
 男の欲望に応えているだけ。その対価として、金をもらう。ただ、それだけ。
 それで、客も私も満足。
「おじゃましまーす」
 指名の客の席に着き、いつものようにビールを頼む。
「ねえ、梨香ちゃん。今日、アフターいいかな?」
「アフター?」
「店が終わるまでいるから、その後に少し呑んでさあ……」
 その手もあったのか。
 アフターにもセックスはあるはずだから、同伴と同じように使える。1日2人から指名とチップをもらえるようになるし、客を不機嫌にしなくて済む。
「はい。大丈夫です。最後まで、いてくださいね?」
 店が終わるまでいてくれるなら、出来るだけ多くビールを頼めば売り上げもアップ。
 バンスの返済と寮費だけで、毎月13万円。服や化粧品などにも、金がかかる。勿論、生活費も必要。
 そうなると最低50万円以上の収入がなければ、充分な貯金をしていかれない。
 また新しい指名が入ったが、もう同伴もアフターも空いていない。その客も明日の同伴に誘いたかったようだが、ごまかして明後日にしてもらった。
 スケジュール帳を買わなければ、待ち合わせの時間や場所を忘れてしまいそうだ。
 トイレに行くと言い、取り敢えず紙の切れ端を貰ってメモしておいた。今日はこれ以上、予定が入らないだろう。もうすぐ閉店時間だ。
 他の客を見送ってから着替え、アフターの約束の客と一緒に店を出る。
 店にはまだ、数人の客が残っていた。彼らもアフターだろう。
 店のある雑居ビルから少し離れた所で、客が見つめてくる。
「食事か、呑みに行く? それとも……」
 “それとも”の後は、ラブホだろう。
 食事で時間を浪費するより、さっさとセックスして寮に帰りたい。食事代わりになる物は、店の色々な席で少しずつ食べた。それは今日に限らず、毎日夕食代わり。
「梨香はぁ、どこでもいいよぉ?」
 じっと見つめ返して言う。
「じゃあ、行こうか……」
 頷いてから、2人でラブホ街へと歩き出した。


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