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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第4章 不思議な感情
通話を切ってからも、笑顔が止まらない。
久し振りに、居酒屋へ行かれる。それに、瀧澤と一緒なのも嬉しい。
確かに、高級店の料理は美味しいと思う。だが同伴で続くと飽きてくるのは、私が貧乏舌(びんぼうじた)のせい。
店で働き同伴が入るまで、食事はコンビニ弁当やカップ麺。それ以前に仲間と行っていたのは、チェーン店の安い居酒屋ばかり。それで、充分美味しいと思っていた。
今いくら高価な服を着ていても、“安物の味”が懐かしくなる。
内面まで変わるには、まだまだ時間が必要なのだろう。
今日は、少し大人っぽい私服の方がいいはず。
買い物に行くためシャワーを浴びようと、その場で全裸になった。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
駅前で瀧澤と落ち合い、タクシーに乗る。
運転手に告げた駅名は、私でも知っていた。テレビなどでサラリーマンの街と言われる、オフィス街の近く。
実際に行ったことは無いが、テレビの街頭インタビューで、酔っ払いに話しを聞く場面は有名。
「今日は、ちょっと大人っぽくしてみました」
「そうだね……。少し地味だけど、似合ってると、思うよ……」
ハッキリ「似合ってる」と褒めないのは、照れがあるからだろう。他の客なら気に入られようとして、ベタ褒めされるのに。
そこも、瀧澤さんの良い所だと思える。
会社の帰宅時間のせいか、道は割と混んでいて、目的地まで40分近くかかってしまった。
「ここから、すぐだからね……」
タクシーを降りて彼の後を着いて行くと、路地へ入って行く。
車がすれ違えないほど狭いから、表通りで降りたのだろう。横道もあり、迷路のようだ。私1人では、迷ってしまう。
「ここだよ」
そう言って、瀧澤が和風の扉を開けてくれた。
「いらっしゃいませー!」
店員の声があちこちから聞こえくる。
私は先に入り、足を止めた。
店内は思ったより広く、大勢のサラリーマンらしき姿。ビールやつまみを載せたテーブルで、それぞれが話をしている。
正に居酒屋。それだけで、嬉しくなってしまった。
「大将、どうも……」
瀧澤が調理場の中へ声をかける。
「おお。瀧(たき)さん、いらっしゃい。今日は、個室だったね。おいっ、ご案内っ!」
「こちらですっ!」