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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第4章 不思議な感情
高級店では味わえない、懐かしいような活気。店の奥には個室もあり、その1つに案内された。
個室と言っても、隣とは襖(ふすま)で仕切られているだけ。それを外せば、宴会用としても使えるためだろう。
騒がしい店内の方が良かったが、掘り炬燵(ほりごたつ)式の畳も落ち着く。
おしぼりと箸、それに取り皿も用意されていた。
「梨香ちゃんが、若いから、個室の方が、いいと思って……」
「ありがとうございます」
確かに、店内に私がいれば目立つだろう。大人っぽくはしてきたが、未成年だと解るはず。
「大将には、言ってあるんだ……。19歳の子だけど、僕が保護者になるから、多めに見てって……」
悪戯っぽく笑うと、可愛いと思ってしまう。本当は、18も歳上なのに。
注文は、個室だけタッチパネル式。店員も、その方が楽だろう。
「何にする?」
「えっとぉ……」
差し出された、いくつかのメニューを見た。
個人経営のようだから、チェーン店より値段は少し高め。それでも、高級店に行くよりはかなり安く済む。
値段など関係ない。安くても、美味しい物はたくさんある。
「レモンハイと。ん……。これが美味しそう。あっ、こっちも。これも」
瀧澤が笑っていた。
「何でも、頼んでいいけど、全部、食べられるの?」
「じゃあ取り敢えず、レモンハイと、串盛りと、唐揚げと、ポテトサラダで」
「瀧澤さんは?」
私はタッチパネルを取り、自分の注文をしながら訊く。
「僕は、ハイボール。それと、牛肉のタタキ。刺し盛も、頼む?」
「はいっ」
こんな遣り取りも嬉しい。
注文を終えてタッチパネルを戻し、すぐに来た呑み物で乾杯した。
喉が渇いていたから一気に飲み干すと、彼が驚いている。
「呑めるんだね……。お店でも、見たけど……」
「はい。お替りいただきまーす」
タッチパネルで注文していると、店員がつまみを運んで来た。
「失礼しますっ。お待ちどうさまー」
個室でも、充分活気が味わえる。それに、店内のザワつく声も聞こえ、私にとっては楽な空間。
「梨香ちゃんには、少し、騒がしかった、かな?」
「全然! 楽しいです」
「それなら、良かった……」
瀧澤は、私が不良娘だった過去を知らない。