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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第4章 不思議な感情
お互いに、もう何杯呑んだだろう。氷無しの呑み物は、1杯で2杯分近くの量。
「瀧澤さんはぁ、今、フリーなんですかぁ?」
さすがに私も、呂律(ろれつ)が怪しくなってくる。
「フリー? 最後に恋人がいたのは、確か、8年、くらい前だけど……」
「私、立候補しまーす」
「嬉しいなあ。15も歳下の恋人なんて」
酔った上での冗談に取り、瀧澤は笑っていた。
「梨香ちゃんは、恋人は、いないの?」
「いませーん。今までぇ、ホントの彼氏は、いなかったかもぉ……」
「ホントの、彼氏?」
残りを呑み干し、また2杯注文する。「頼んどきますねぇ」と言い、勝手に瀧澤の分も注文した。
「何て言うのかなぁ……。付き合ってても、ホントに、好きじゃなかったかもぉ……」
「そうなんだ……」
私は、もう乾いてしまった刺身を口に入れる。
腕時計が目につき、もう21時過ぎ。店なんて、今日はどうでもいい気分。
「あっ、そろそろ時間だね。大丈夫? 歩ける?」
「ヤダぁ。まだ、一緒に、いたい……」
酔ってはいるが、言葉だけは真実。
瀧澤と離れたくない。妻も恋人もいないのなら、私といても問題は無い。
「違うトコ、行きたい……」
「お店じゃなくて?」
「ん……。私がぁ、案内するからぁ……」
瀧澤はやれやれと言った様子だが、私は構わず、会計を終えた彼に掴まって大通りでタクシーに乗った。
「お客さん、この辺りですか?」
行き先を運転手に告げ、私は寝てしまったらしい。そのお蔭で、酔いは少し覚めた。
「この先を、右で。そしたら、適当な所に入って」
「梨香ちゃん?」
瀧澤も気付いたらしい。行き先はラブホ。
もっと一緒にいたい。寮は、スタッフ以外の男子禁制。
「ここに入りますよ?」
「はい」
タクシーが、ラブホの駐車場へ入る。瀧澤は無言のまま、私を見ていた。
「梨香ちゃん。どうしたの?」
彼を引っ張って、中へ連れて行く。まるで男女反対のよう。
部屋を選び、「泊まりで」と言って鍵を受け取る。そのままエレベーターに乗った。
「梨香ちゃん……」
部屋に入ると、すぐベッドに寝転んだ。
「瀧澤さん、来て……」
スーツの上着だけを脱いだ彼が、横に寝てくる。
私から抱き着き、そのまま目を閉じた。