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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第5章 店の裏側
まだ若いからか、こういった場所には慣れていないという感じ。
黒服に亜由美の指名を頼むと、すぐに来てくれた。
「ありがとうございます。おじゃまします」
亜由美は木村の隣に座り、名刺を渡している。勿論、瀧澤にも。
3人は水割り。私はいつも通りビールで乾杯した。
「あの……。この前は、ごめんなさい。今、店を辞める、準備をしてます……」
瀧澤に耳打ちする。
「いつでも、いいよ。待ってるから……」
瀧澤も耳打ちしてきた。
「あー。2人で、内緒話してるー。私達も、仲良くしましょう?」
そう言った亜由美が、笑いながら木村に寄りかかる。
楽しい雰囲気。
亜由美もやたらとベタベタするわけではなく、軽いボディータッチをしながら木村と話している。
木村も、満更ではない様子。段々と話すようになり、亜由美と笑い合っている。元々は明るい性格のようだ。
「梨香ちゃん。良かったら……。お店が、終わったら、食事にでも、いかない? 疲れてなければだけど……」
「はい」
疲れていても、瀧澤の誘いは大歓迎。
マンションの件があるせいではない。瀧澤となら、ずっと一緒にいたいと思ってしまう。
優しさに、癒される。
この前は無理矢理ラブホに連れ込み、「抱いて」などと言ったかもしれない。ラブホに着いてから寝るまでのことは、記憶になかった。
だが客とのセックスについては、絶対に話していないはず。何故かそれだけは、自信があった。
一緒にいたい。と思うのは、恋なのだろうか。
今までの彼氏達は、20代までだった。夜な夜な遊び回るが、盗みや恐喝などの悪いことはしない。私が中学生でなければ、ただみんなで夜の街を楽しんでいただけ。
繁華街と言っても、都心から離れた場所はさほど賑やかでもない。結局コンビニの前や、ファミレス。誰かの家で集まっていただけ。
それは、家に帰りたくなかったから。
父親は最初こそ怒っていたが、もう諦めたように無視し始めた。母親も、兄も同じ。
だから私は、瀧澤に父性を求めているのだろうか。
親子と言うほどの、歳の差ではないが。
何にせよ、愛情を求めているのは自分でも感じられた。