この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第5章  店の裏側


「梨香ちゃん? どうぞ?」
 空になったグラスに、瀧澤がビールを注いでくれる。
「ありがとうございます」
「あのね……。梨香ちゃんは、僕に、敬語じゃなくて、いいからね。あっ、お店、だからかな?」
 瀧澤が、小声で言う。
「う、うんっ。解った」
 そう答えると、彼が嬉しそうに笑う。
 この笑顔の、傍にいたい。
 客とのセックスのことを話して、笑顔を曇らせたくないと思った。
 もし過去のことも含め、本当のことを全て話したら、絶対に嫌われる。指名が欲しいわけでも、マンションに住みたいからでもない。
 瀧澤を、哀しませたくないから。
 笑顔で彼のグラスを取り、何気ないことを話しながら水割りを作る。
 ここでは、それが私の仕事。だが話している内容は、今の本心ばかり。
「はい。梨香ちゃんにも」
 まだ半分残っているグラスに、ビールを注がれる。
 何となく乾杯してから、2人で笑ってしまった。
「あー。またぁ。仲いいんだからぁ」
 亜由美の言葉で、4人とも笑い出す。
 店だとしても、こんな和やかな雰囲気が続いて欲しいと思った。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


「えー。またダメなの? 何だよっ!」
「ごめんなさい。もう、予定が……」
 別の席から指名があり、そこへ移った直後。今晩のアフターを断ると、客が怒ってしまった。
「別の子にするから。行っていいよ」
「はい。すいません……」
 同伴やアフターを断る度、私の客が減っていく。客が減るということは、指名が減り、売り上げも減って行くということ。
 だが、2千500円に上がった時給だけで充分。
 客が黒服に告げ、私は瀧澤の席に戻る。
「ただいまー」
 明るく言ったが、客の声はここまで聞こえていたらしい。
「大丈夫?」
 瀧澤に小声で訊かれた。
 本当の理由は言えない。アフターを断るのは、セックスを断ること。
「うん。大丈夫。呑もう?」
「また、酔いすぎないでね? ビール、もう無いから、頼む?」
「うん」
 酔いすぎないよう言っておきながら、気を遣ってくれる。
「あっ、ちょっと待っててね」
 私はフロントへ行き、黒服を呼び留めた。
「今日の、瀧澤さん達の代金、私から引いて?」
「はい。解りました」
 彼が金持ちだとは解っている。それでも、私がそうしたかった。


/115ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ