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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第5章 店の裏側
「それに、売り上げがノルマに届いてないよ。その分も、引かれるから」
「そんなこと……」
聞いていない。
「契約書、ちゃんと読んでないの?」
「契約、書?」
面接に来た時、私は契約書にサインしたのを思い出した。雇ってもらえるだけでホッとして、何も読まずにクローゼットの中へ。
「そこに、ちゃんと書いてあるよ? 電話1本くれれば、無欠にならないのに」
「辞めさせてください! 寮も、すぐに出て行きます!」
こんな店、やっていられない。瀧澤さんに頼んで、マンションに住まわせてもらおう。引っ越し代くらいなら、貯金を下ろせば足りる。
「じゃあ、3百万。払うんだね?」
「えっ?」
身に覚えのない金額。バンスも、そんな額ではない。
「それも、契約書にあるよ。1年につき、百万。梨香さんとは3年契約だから、合計で3百万。契約前に辞める時は、それを払う約束」
「そんな……」
詐欺にでも遭ったよう。
だが、契約書をきちんと読まなかったのは私だ。
「その諸々とバンス。寮の家賃を引いたのが、今回の給料。解った?」
「はい……」
そう答えるしかない。
3百万などという大金を、私に用意出来るはずもなかった。
一瞬瀧澤のことが頭を過ったが、頼るわけにはいかない。数万ならまだしも、3百万だなんて。
無断欠勤の理由を話せば、客とセックスしていたこともバレてしまう。
「以上だけど。何か質問はある?」
「いいえ……」
悪いのは、私だ。
きちんと契約書も確認せず、サインをしてしまった。
客と同伴やアフターを繰り返せば、手に入れられる金額は上がるはず。だが、もうそれも嫌だった。
その日の営業は殆どぼんやりしたまま過ごし、寮に帰って契約書をよく読んだ。
確かに、支配人の言ったことが全て書いてある。だがそれは裏に細かい文字で。面接の時に、確認しろとは言われていない。
警察に駆け込めば、どうにかなるだろうか。
あの店は、違法な営業をしている。18歳未満を使って。
だがそうすれば、私も補導されてしまう。そうなれば、多くの人に客とのセックスがばれるかもしれない。
瀧澤にも。
それだけは、嫌だった。
3年間、働くしかないなんて。