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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第6章 新たな試練
トイレにはトイレットペーパーが、シャワー室にはタオルが山積みになっていた。
ここはいったい……。
「無いっ!」
瀧澤からの、大事なバッグ。
トイレとシャワー室も、ベッドの下も探したが、この部屋のどこにも無い。
「そんな……」
呆然としていると、乱暴なノックの音。
「3番、梨香、朝メシだ!」
ドアの下の部分だけが横に細く開き、食事の載ったトレイが差し込まれる。
「後、水」
2リットルの、ペットボトルも差し込まれた。
3番?
ドアの窓にも、鉄格子がある。
私は何度も鉄のドアを叩いた。
「ねぇっ! ねぇってばっ!」
「何だよ、うるせーなぁ」
マスクをしたツリ目の男が、窓から覗いてくる。
「ここはどこ!? 何なの!? 私のバッグは!?」
「ったく……。ここは、オークションまでの、お前の部屋。私物は持ち込めねぇ。メシ喰ったら、トレイは外に出しとけよ。オレは食事係だ。後は、黒服さんに訊け」
「バッグだけでも返してよっ!!」
言ったが、男は無視して行ってしまう。
オークションというものが始まるまで、こんな部屋でどれくらい過ごせと言うのだろう。
瀧澤からのバッグも、取り上げられてしまった。
仕方なく、床のトレイを机の上に運ぶ。
皿には食パンが2枚と、スライスチーズ。小鉢のサラダと、野菜の煮びたし。それらは全て冷え切っていた。それと、空のコップが載っている。
さっきの男は、“朝メシ”と言っていた。
私が連れて来られたのは、昼間。ということは、今は翌日の朝なのだろう。
車の中で、何か薬をかがされた。それ以外は、何も解らない。
食欲は無かったが、コップで水だけを飲んだ。溜息をついてから、コップだけを残してトレイを外へ出す。
先のことよりも、今はバッグが無いことが哀しかった。
何よりも、大切にしていたのに。
ベッドに転がって、丸くなる。
オークションというのは、いったいどういうものなのだろう。それで行き先が決まると、支配人は言っていた。行き先が決まれば、バッグは返してもらえるのだろうか。
時計さえ無い部屋で、ジッと過ごすしかなかった。