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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第1章 学生からの旅立ち
「何でも、好きな物呑みなさい」
部長の言葉に甘え、黒服にジュースを頼んだ。
ボトルは減らせなくても、ジュースは一杯千円。売り上げの貢献にはなるだろう。
呑めなくはないが、水割りはあまり好きではない。普段呑むのは、チューハイやビール。
再度乾杯してから話していると、黒服に呼ばれてしまった。
別の席への顔見せ。
「失礼します」
頭を下げてから、また新しい客の席へ。すぐに名刺も渡す。そうやっていくつか回っていると、また黒服に声を掛けられる。
「梨香さんを、お借りします」
今度はどの席へ行くのかと思った時、「指名が入ったよ」と黒服が言う。
「えっ?」
連れて行かれたのは、最初の席。
優しげな客が気に入ってくれたらしく、指名してくれた。
「梨香ちゃん、おかえり。隣に座ってあげて?」
麗華に言われ、また元の位置へ座る。
「ありがとうございます」
優しげな客に言ってからテーブルを見ると、さっきのジュースは無い。黒服に、下げられてしまったのだろう。
「ビール、いいですか?」
部長はさっき、「何でも、好きな物呑みなさい」と言っていた。
ここに単品のチューハイはなく、焼酎のボトルになってしまう。
「呑めるのかあ。おいっ! ビール!」
黒服の方に向かって、部長が声を上げる。「かしこまりました!」と聞こえ、すぐに瓶ビールとグラスが運ばれて来た。
小瓶なのに、1本800円。何故か2本セットなのが決まり。
麗華と明菜と私で3等分だが、私にも売り上げつく。それとは別に、指名料も。
優しげな客がビールを注いでくれて、またみんなで乾杯した。
「梨香ちゃん。無理、しないでね……」
隣で心配してくれるが、私は平気。ただ酒なんて、ラッキーだ。
「ビール、好きなんです」
全員で笑い合う時もあるが、半分以上はマンツーマンでの会話。楽しくて、時間が過ぎるのを早く感じる。
「梨香さんを、お借りします」
黒服に言われて、反射的に立ち上がった。
「行っちゃうのか? こいつが淋しがるぞー」
部長が優し気な客を指差しながら笑う。
指名なのに、まだ顔見せは続くのだろうか。そう思いながらも、挨拶をして席を立つ。
「またご指名だよ」
その言葉に驚いた。