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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第7章  蘇る感情


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 目を覚ましたのは、都内にある高層ホテルの一室。
 都内だと解ったのは、急いで見た窓から、東京のシンボル的タワーが近くに見えたから。
 5年振りの自由。
 昨夜退職金を受け取り、メイド3人と抱き合って挨拶を交わした。
 執事に言われた通り私服に着替えて個室で待っていると、入って来たのは3人のSP。また薬をかがされ、今目を覚ましたばかり。
 そう言えば愛も、SPに抱えられて屋敷を出て行った。その時は具合が悪いとごまかされたが、こういうことだったのか。
 これで、屋敷の場所は永遠に解らない。
 その方が良いだろう。
 元々、屋敷の外観も解らない。場所を知ってしまったら、怖くてその地域に近寄れなくなくなってしまう。
 この5年は、もう無かったこと。自分の中だけで、徐々に消化していけばいい。
 亜里沙と奈々も、完済まで1年無いと言っていた。美桜がメイド長になったが、完済は見えている。
 これから私は、自分の力で新しい人生を歩み始める。東京を離れるのも、いいかもしれない。
 このホテルの料金は支払い済みだと、テーブルにメモがある。
 こんなホテルは高額だろう。1週間ほど休むなら、別の安いホテルを探そう。
 念のためにと、あの屋敷でキャリーバッグをリクエストして手に入れておいた。愛もそうしていたから。
 荷物は、同じく屋敷で手に仕入れた普段着の一部。もう、ブランドに拘ることも無くなっていた。
 それに大事な退職金。
 部屋を見たが何もなく、クローゼットを開けた。
 その瞬間、私は全身の力が抜けて座り込んだ。
 キャリーバッグの横には、瀧澤からもらったバッグ。
 震える手で触れ、ゆっくりと、だが強く抱きしめた。
「瀧澤さん……」
 支配人に手紙は託してきたが、もう5年も経っている。それに今まで、人に話せないような仕事をしていた。
 そんな私が、瀧澤に会う資格なんて無い。
 バッグの中から昔の財布を出し、10万だけを入れて戻す。これからの支払いに、札束からは出せない。
 一緒に入っていた衣類が黄ばんでいたことが、5年という年月を感じさせる。それをキャリーバッグに移し、しっかりとバッグを持つと、キャリーバッグを引いて部屋を出た。


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