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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第7章 蘇る感情
静かにドアを開けると、かなり広い部屋。その端に置かれたベッドで、瀧澤は眠っている。頭の方にある低い棚の上には、光量(こうりょう)を抑えたスタンド。
「ん……」
ドアを開けたせいで廊下の灯りが差し込み、彼が上体を起こす。
「どうか、したの? 気持ち、悪い?」
私はドアを閉め、無言のままベッドに寝ると、瀧澤にしがみついた。
「梨香ちゃん?」
驚いていた彼が、何も言わないまま、静かに私を包み込んでくれる。
胸に顔を着けると、温もりを感じた。
顔を上げ、瀧澤を見つめる。
彼は安心させるような笑顔で見つめ返し、頭を撫でられた。
「このままで、いいよ。寝なさい?」
彼は私に好意を持っているだけで、それは愛情ではないのだろうか。
女性からこうしてベッドに入って来たのに、抱こうとはしない。パジャマだけで、下着を着けていないことも解っているのに。
複雑な思いを感じながら、私は目を閉じた。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
目が覚めると、ベッドに瀧澤の姿は無い。
シワになったパジャマのまま、階下へ行った。
「あ、おはよう。ゆっくり眠れた?」
「はい……」
「昨日の、あの……。下、着だけ、洗って、乾燥中、だから。ごめんね。勝手に……」
首を振る。
着られる下着は、身に着けていたものだけ。服は古いが、クリーニングに出す素材。
「会社は……」
「今日は、土曜だよ。会社は休み」
大手なら、週休二日制だろう。私は自由になれる日付だけを気にし、曜日は見ていなかった。
電子音が聞こえ、瀧澤が洗面所の方を見る。
「乾燥が、終わったよ。悪いけど、自分で、出してくれる? 着た方が、いいと思うし……」
「はい……」
洗面所のドアが開けてあったのは、リビングまで音が聞こえるようにだろう。
ドアを閉め、乾燥機から下着を取り出す。少し振って、熱を取ってから身に着けた。そして、畳んでおいた元の服も着る。
新しい服を、何着か買わなければ。ブランドなど関係ない。今は、安ければ安いほどいい。
まだ5百万の殆どは残っているが、先のことを考えて、大切に使わなければ。
リビングに戻ると、いい香りがしている。
「もうすぐコーヒーが出来るから、座ってて?」
「私が、やります」