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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第8章  真実の想い


 元々、金持ちの家庭だったのだろう。
 野菜類は安い物を選んだが、念の為に、レトルト食品も買って置く。
 この数日だが、料理はネットを見たりしていた。すぐには無理でも、そのうちに手の込んだ料理も作れるようになるだろう。多分。
 彼が得意なのは、コーヒーを淹れることだけ。それくらいは、任せようと思った。
 最後に寄ったのは、ホームセンター。
 持っていない、エプロンを数枚買っただけ。
 家に戻り食品を片付けると、和哉が淹れたコーヒーで一段落。
 彼がいる今日中にベッドを移動させなければ。床の掃除は明日でもいい。後は夕食作り。
「疲れさせちゃったみたいだね。今晩は、デリバリーにしよう?」
「うん」
 こんな日くらい、食事を作らなくてもいいだろう。それにまだ、レシピをしっかりと覚えていない。スマホだけが頼り。
「ベッド。買っちゃったけど、これから、一緒で、いい、かな?」
 あんな金額の物を買った後から、確認するなんて。
 笑いながら頷いた。
「良かった……」
 その言葉に、また笑ってしまう。
 夢でもいい。だが、夢なら永遠に覚めないで欲しい。
 最初は、一緒にいるだけで、暖かい気持ちになれる人。そのうち自然と、ずっと傍にいたいと感じ始めていた。
 そして今、本当に一緒にいる。
 夢など叶わないと、諦めていた学生時代。それは、自分が全く頑張ろうとしなかったせい。
 流されるままに生きることしか、知らなかった。
 そこから救い出してくれたのは、目の前にいる和哉。
 今が、本当に幸せだと思える。
「さてと……。ベッド、運んじゃうから。休んでて」
 彼が立ち上がり、階段の方へ向かう。
「手伝うよっ」
 私も後から、階段を上がった。
 いくら大柄な男性でも、ベッドを1人で運ぶのは無理だろう。両端を持たなくては、床を傷付けかねない。
 大丈夫だと言う和哉を遮り、結局2人で運んだ。
 ベッドが入っただけで、部屋の雰囲気が変わる。
 今までの布団は、明日干すとは口にせず、クローゼットにしまって置いた。彼に言えば、今自分がやると言うだろう。
 2人でベッドに座ると、和哉に肩を引かれた。
 優しいキスが、段々と深くなる。


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