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SWEET POISON「奴隷メイドオークション」番外編
第9章 決別の決心
元々24時間循環式の風呂だが、もったいないから、和哉が帰る直前にスイッチを入れた。夏の昼間なら、掃除などで汗をかいてもシャワーだけで充分。
彼が先に入っている間に洗い物をし、簡単なつまみを用意しておく。
入れ替わりに風呂に入り、お互いバスローブのまま並んでソファーに座った。
テレビでは、映画だったらしい洋画の放送。ワインを呑みながら、それを観る。
「この後は、ビールにする?」
「うん。ビールにする。和哉は、水割り?」
頷くのを見て、それぞれの支度をした。
最初のワインは、半分以上私が呑んだ気がする。彼は明日も仕事だから、ゆっくり呑めるのは終末だろう。
ビールと水割りで改めて乾杯してから和哉に軽く寄りかかり、話ながらテレビを観ていた。
濃厚なキスシーンに、照れてしまう。自分達もあんな風にしているのかと思うと、顔が熱くなる。
彼は、何も話さなくなってしまった。
洋画のシーンが代わっても、2人とも無言のまま。
「梨香……」
「え?」
頭を引き寄せられ、キスをされる。
段々と深くなり、舌を絡め合う。
「ふぅっ……。んんっ……」
暫くして、急に和哉が離れた。
和哉の会社用のスマホが鳴っている。
「部長からだ……。はい。瀧澤です。何か、ありましたか?」
私は向かいに座り直し、邪魔になると思い音を消した。
「いえ……。あの店には、もう、行きませんから……」
“あの店”と聞き、ドキリとした。昔のことを思い出してしまう。
部長が、長く話しているようだ。和哉は、時々「はい」と挟みながら聞いている。
「あ、梨香、です……。梨香なら、今、ここにいます……」
《本当かっ!?》
大きな声のせいで、スマホから声が漏れた。部長も、相変わらず元気なようだ。
「はい……。交際、してます……」
いつもながらの話し方だが、きちんと言ってくれるのは、凄く嬉しい。
「はい。はい……。失礼します……」
通話を切ると、目が合った瞬間に反らされた。態度もおかしい。
「あの店って。私が、いた、店?」
思い切って訊いてみる。
「ああ……」
「ずっと、通ってたの?」
「梨香が、いつか、戻ってくると、思って……。最初の頃は、月に、2,3回かな……」