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第5章 人魚

「ワイはイワオっていいます。よろしくっ」胸を反らしながら右手を差し出した。

「はい？」と訊き返す。

なんなんだこの男は……。

風俗店では極力他人と関わりたくないと考えている風俗初心者の自分に握手を求めようというのか。

訝りながら髭の男と握手を交わした智広は「イ、イワオさんですか？」と念のため確認をすると、彼は「お宅の名前は？」と訊き返した。

「自分ですか……自分は浦田、といいます」

思わず名乗ってしまう。