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第5章 人魚

彼は智広たちを認識すると微かに眉根を寄せたが、次の瞬間には営業スマイルを称えながら智広に近づいてきた。

「お客様、女の子の準備が整いましたのでご案内いたします。どうぞこちらへ」

太めの店員は頭を下げると、出入口の方向に掌を差し伸べ退出するよう促す。

智広は立ち上がり扉まで到着すると後方から声がした。

振り返った智広は目を剥いた。

なぜなら、太めの店員がドスを利かせた声音でイワオに詰め寄っていたからだ。