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セックスと愛とフレグランス
第9章 泡姫
「……二年前にバンドを辞めました。バンド自体は今でも活動してるんですが、兄は音楽を辞めたんです。きっぱりと」
智広がつぶやくと、愛先輩はグラスをテーブルラックにそっと置いた。
「そう……辞めちゃったんだ」愛先輩の言葉のトーンが微妙に下がったが、次の瞬間には元気な愛先輩の声に戻っていた。「それは残念だね。きっと孝介くんなら、音楽の世界で活躍すると思ってたのに――。もし彼が有名になったら、あたしはこのバンドのボーカルの男性と知り合いだったんだよ、なんて自慢したかったな」
智広がつぶやくと、愛先輩はグラスをテーブルラックにそっと置いた。
「そう……辞めちゃったんだ」愛先輩の言葉のトーンが微妙に下がったが、次の瞬間には元気な愛先輩の声に戻っていた。「それは残念だね。きっと孝介くんなら、音楽の世界で活躍すると思ってたのに――。もし彼が有名になったら、あたしはこのバンドのボーカルの男性と知り合いだったんだよ、なんて自慢したかったな」