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セックスと愛とフレグランス
第9章 泡姫
ただ、と智広は付け加えた。
「ただ、なに?」と、愛先輩が智広の顔を覗き込んだのがわかった。
智広はそっと目を逸らす。
やっぱり彼女は今でも兄の孝介に想いを寄せているのだろうか。
「ただ兄は、奥さんがいます。一年前に結婚したんです。生後二か月の子供もいます」
智広はゆっくりと隣に座る愛先輩の横顔を見た。
必然的に見つめ合う形になる。
回りくどい説明によって愛先輩の瞳の奥に潜む心情を読みとろうと考えた。
だが、彼女の双眸は微塵も変化することはなく、何を考えているか全く不明だった。
数秒間の沈黙が生まれた。
「ただ、なに?」と、愛先輩が智広の顔を覗き込んだのがわかった。
智広はそっと目を逸らす。
やっぱり彼女は今でも兄の孝介に想いを寄せているのだろうか。
「ただ兄は、奥さんがいます。一年前に結婚したんです。生後二か月の子供もいます」
智広はゆっくりと隣に座る愛先輩の横顔を見た。
必然的に見つめ合う形になる。
回りくどい説明によって愛先輩の瞳の奥に潜む心情を読みとろうと考えた。
だが、彼女の双眸は微塵も変化することはなく、何を考えているか全く不明だった。
数秒間の沈黙が生まれた。