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セックスと愛とフレグランス
第10章 フレグランス
怪訝な表情で尋ねる愛先輩に「いえ別になにも」と返した。

どうやら香水の存在は気づいていないようだ。

でも、この後はどうすればいいのだろうか。

何か布のようなもので香水を覆い隠すにしても適当なものが見当たらなかった。

だからといって、「これ愛先輩にプレゼントです」といって、突然差し出すのも不自然のような気がする。

「申し訳ないけど受け取れません」などと拒否されたりしたら立ち直れないし、愛先輩の顔を合わせることは二度とできないだろう。

仕方なく後ろ手で小箱を手探りで確認し、それを持ち上げた。

掌の中には収まらないがお尻のあたりで隠しておけば大丈夫だろう。

そのうち彼女も部屋を出ていくのだ。

それまで見つからなければいい。
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