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セックスと愛とフレグランス
第11章 嫉妬
そんなことないです、と否定するが、「聞いて」と強い口調で遮られた。

「孝介くんは勉強もできるしカッコいい。しかも音楽という才能に恵まれている。一方の智広くんも見た目はカッコよくて陸上でも才能があった。でもあたしは……貧乏な上に陸上の成績だって並みの部類だし、特技っていったらバイトで習得したソバを茹でることぐらいだったから」

その考えはあまりにも悲観的であり被害妄想なのではないか、と思ったが口には出さないでおくことにした。

彼女の心の中にある真実のその先が知りたかったからだ。

「心の中で芽生えた妬みは、自分の意志に反して次第に大きくなっていった。ダメだとわかっていても孝介くんや智広くんに対して憎しみという感情が湧いてきたの。……そんな時、ふとあることを思いついた。もしこの兄弟に不幸が訪れたらどうなるんだろうって。この仲のいい兄弟の間に修復できない亀裂が生まれたら間違いなく不幸のどん底に陥れることができるんじゃないかってね」
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