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悦楽にて成仏して頂きます
第1章  特殊能力



「あっ、あぁっ」
 益々グラインドが激しくなり、私は自然と背中を反った。
 秘蕾(ひらい)からは、グチュグチュと言う音が聞える。
「はぁっ、んんっ」
 使命は忘れていない。それでも最中には、やはり感じてしまう。
 中の熱がどんどんと大きくなり、全身が熱い。
「楓(かえで)、さんっ……」
 彼は限界が近いらしい。でも、私も同じ。
「ヤぁっ、ダメぇっ、んんっ、イくぅっ! はぁっ……」
 イくと、無意識に相手の性器を締め付けてしまう。
「くぅっ、はあっ……」
 ほぼ同時にイった彼は、強い光を放った。


 ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆


 何故なのか、私自身にも解らない。近親者にこんな能力を持つ者もいないし、聞いた事も無かった。
 物心ついた頃から、私には不思議なものが見えている。
 一緒に遊んだりもしていたが、幼かったせいで、親は1人遊びだと思っていたらしい。
 最初は何度も両親に話したのに、全く信じず笑っているだけだからやめた。
 色々と見えるのは変わらなくても、今の私には、この世を彷徨う霊が寄ってくる。それも、セックスに未練を持つ男性の霊ばかり。
 それは、東京へ来てすぐ知り合った祈祷師(きとうし)のせい。
 祈祷師にその場で呪文のようなものを唱えられ、連れて行かれた社(やしろ)という場所でも祈祷を受けた。
 霊が寄ってくるのも、その直後から。
「おい、雨宮(あめみや)っ」
 仲のいい男子に、後ろから背中を突かれた。
「楓っ、楓っ」
 前からは、女友達が振り返る。
「え?」
 見ると、年配の教授がすぐ横に立っていた。
 私がボーっとしていたのは、大学の講義中。
「君は学ぶ気があるのか? 無いなら、すぐ出て行きなさい」
「すいません……」
「2年にもなって、大学生としての自覚が足りないんじゃないのか?」
 教授は溜息をついてから、教壇へ戻って行った。
 そう言われても、この状況ではあまり講義に身が入らない。
 慣れてはきたが、空いている隣の席で、20代と思(おぼ)しき白装束の男性がずっと私を見ている。
 白装束じゃなくても、人間と霊の区別はつく。見た目は人間と変わらない。でも、感じる雰囲気が全く違う。
 街中でも霊はたくさん歩いているが、特殊能力が無い人には見えないだけ。


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