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悦楽にて成仏して頂きます
第17章  真相


 響揮は以前、私と霊がセックスしているのを感じるだけだと言っていた。
「もしかして……。全部、見てたの?」
「ああ……」
「どこでっ?」
 体を動かすと、秘蕾からまた精液が流れ出る。それを気にしながらも、響揮を見つめた。
「社の鏡。覚えてるだろ? 社の鏡で、お前のマンションを見たのも」
 桜火に結界を解かれ、私のマンションは霊だらけ。それを、社の鏡で見た。
「覗いてたの? 鏡で」
「だから暴走した時、駆け付けられたんだぞ」
 響揮に、全く反省の色は見えない。
「最初の頃は、ちょっと確かめるだけだった。でも、そのうちに……」
「そのうちに?」
 私は、怒ったように訊く。
「お前が、気になって。半年くらい前から、全部、見てた……」
 響揮が祈祷料を届けてくれるようになったのは、半年前から。
「気になって、仕方なかったんだよ。霊とはいえ、男とヤってるのが……」
 もしかしたら、彼も同じ気持ちだったのだろうか。
 自分でも気付かない、片想い。
 でも除霊の為とはいえ、セックスの全てを見られていたのはやはり恥ずかしい。
「今度覗いたら、あの鏡、壊しちゃうからね」
 恥ずかしさから、背中を向けた。
「バカ。もう霊とヤんなくていいんだよ。お前は、オレだけのモノだ……」
 照れたような響揮が、後ろから抱きしめてくる。
「あの鏡は、1800年前から伝わる物だ。定期的に磨いてるけど、曇って普通の鏡としては使えねえ。術を唱えた時だけ、見てえ場所が写る」
 何だかごまかされたよう。でもバイブを使うのも、響揮がそうしたいならいい。
「琴音ちゃん。実家に戻って、怒られてないかなぁ……」
「ああ見えて、芯は強い。いざとなったら、桜火との事も話すかもな」
 琴音は最終的には、桜火と結ばれなかった。でも今だに、彼女の中で桜火は生きている気がする。
 桜火にもっと時間があれば、琴音を立派な陰陽師にしただろう。
「さてと。シャワー浴びたら、呑みに行くか。桜火への、献杯。まだしてねえし。成仏したわけじゃ、ねえけどな……」
 カーテンの隙間から、夕日が差し込んでいた。
 色々ありすぎて、響揮とたくさん話したい。今までの事も、これからについても。


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