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悦楽にて成仏して頂きます
第18章  未来の先


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「楓が、1番に結婚するなんてねー」
 夏休み間近、友達と学食で昼食を摂っていた。最近の話題は、私の結婚と妊娠についてばかり。
「御曹司なんでしょ?」
「超有名な祈祷師で、ネットにも載ってるじゃん」
 私の妊娠が解ったのは、大学4年の夏に近くなってから。今は4ヶ月。つわりも殆ど無く、順調な日々を送っている。
 響揮は喜びながらも、慌てて色々な手配をしてくれた。
 入籍前に私の両親と兄まで田舎から出て来たが、響揮の神奈川の実家の大きさに驚くばかり。
 広い庭のある立派な日本家屋で、使用人が何人もいた。
 最初は妊娠に怒っていた父親も、響揮の実家でのもてなしに安心したようだ。
 以前から挨拶に行っていた私は、能力の事もあり彼の両親に歓迎されていた。両親とも優しく、体を気遣われながら作法なども教わり一安心。
 つつがなく婚姻の儀も終わり、私は神明楓になった。
「いいなー。結婚。イケメンでお金持ちで高身長。夢みたいじゃーん」
「私はまだ、就活の最中だっていうのにぃ」
 隣に座っていた友達に、軽く肘でつつかれる。
 お腹はまだ目立っていないが、みんな気を遣ってくれていた。
 昼食の後は1つだけ講義を受けてから、マンションへ戻る。


「大丈夫か? 腹、ぶつけたりしてないか?」
「大丈夫だって。響揮、優しくなったね。あー。優しいのは、お腹の子へか」
 笑って見せた。
 響揮は気が早すぎて、もうおもちゃやベビー服を買ったりしている。まだ、男か女かもはっきりしないのに。
 他に彼が買ったのは、車。安全な高級車には、もうチャイルドシートも着いている。元々マンションの地下に専用駐車場はあったが、響揮の外出は社か呑み屋だから、徒歩かタクシー。
 軽いのに、持っていたバッグを部屋へ運んでくれた。
 冷蔵庫からペットボトルの水を出し、リビングのソファーへ座る。
 妊娠が解ってから、響揮は水や100%のジュースしか飲ませてくれない。たまには、食後のコーヒーが飲みたいのに。
 今から過保護すぎて、このままでは先が思いやられる。


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