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悦楽にて成仏して頂きます
第8章 注入の儀
しがみつくように、彼の背中へ腕を回した。
「あっ、響、揮っ、あぁっ」
セックスで相手の名前を呼ぶなど、どれくらい振りだろう。
元彼なんて、もう遠い思い出。いつもは霊ばかりで、名前も年齢も解らない相手。
「ヤぁっ、あぁっ、はぁっ」
もう、体中が熱い。
中や乳首だけでなく、全身に快感を与えられているよう。
「あっ、ヤぁっ、んんっ」
「イっても、いいぞ」
荒い息を継ぎながらの、響揮の声。そしてグラインドが激しくなる。
霊のように無機質な存在ではない。彼には確かな体温があり、その熱は今、私に向けられている。
愛情とは言えないだろうが、今だけは響揮の熱が愛おしかった。
「やぁんっ、ダ、メっ、響揮っ、あぁっ イクぅっ! あぁっ……」
響揮の背中から手が落ちると、何もない世界に放り出されたよう。
「んっ……。はぁっ……」
それでも、下半身はまだ繋がっている。その熱を感じながらも、頭の中は真っ白だった。
「楓……」
奥まで挿入されたまま、乳首をしゃぶられる。
まだ体は熱いままなのに、それ以上に体温が上がっていく感じがした。
「んんっ、はぁっ……」
意識を取り戻すように、段々と現実へ戻される。
快感を得る事が、本来の目的では無い。
注入の儀。
それにどれくらいの意味があるのかは解らないが、桜火の話だと強い能力を得られるらしい。
今は、その為のセックス。
「あっ、あぁっ」
響揮が、またゆっくりとグラインドを始める。私も無意識のうちに、彼の性器を締め付けていた。