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悦楽にて成仏して頂きます
第8章 注入の儀
霊でも気持ち悦いと思っていたが、別格の快感。
「あんっ、んんっ」
セックスではなくても、恋人同士は手を繋いだり抱きしめたりして温もりを感じ合う。温もりは、現世に生きる人間にとって不可欠なのかもしれない。
「はぁんっ、あぁんっ」
グラインドが徐々に速さを増し、指先までが熱い。
イったばかりなのに、また体の奥から込み上げてくるものがあった。
「あぁっ、んんっ、ヤぁんっ」
「また、イけそうかっ? いいぞ。オレもっ……」
響揮の荒い息も、快感に拍車をかける。
「ま、たぁっ、あぁっ、んっ、響揮っ! んんっ……」
「出すぞっ……」
私がイってすぐ、響揮も中で出したようだった。
「楓……」
軽いキスをされてから性器が抜かれると、響揮はそのまま動かない。
何とか目を開けると、さっきは緑色だったドームが青になっていた。色の意味は解らないが、これが注入の儀が終わった証拠なのだろうか。
「水、だ……」
ドームを見回しながら、響揮が呟いた。
「み、ず……?」
私が言うと、響揮が頷く。
ティッシュで秘蕾を拭いていると、響揮も自分の性器を拭いている。
その間も響揮は、「水だったのか……」と何度も呟いていた。
体を起こそうとすると、秘蕾から何か垂れるように出てくる。
「えっ?」
急いでティッシュで押さえた。
中を伝うように出てくるのは、響揮の放出したものだろう。霊の精子はすぐに消えてしまうし、元彼達はいつもコンドームをしていた。
だから私には、初めての経験。
「詳しい話を、聞きたいけど、シャワーの、後でいい……?」
このままベッドの上で、全裸のままなんて恥ずかしすぎる。
「オレが先に浴びるよ。早いから」
「うん」
水とはいったい何なのだろう。この後話してくれるはずだが、響揮は嬉しそうだった。
響輝に借りた大きいバスローブを着て待っていると、すぐにノックの音。
「シャワー、いいぞ。リビングで待ってる」
「解った」
私は響揮と入れ替わりに、シャワーを浴びた。
部屋着に着替えてリビングへ行くと、バスローブ姿の響揮が、テーブルに載せた古そうな書物を読んでいる。
「水だよ水! やっぱり守護石に、青は無い」
「ごめん。ゆっくり、教えて」
「そうだよな」