この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Maria
第2章 希望の祈り
いつものように
朝から油と煤にまみれ仕事をこなす。
浮かんでは消えるマリアの横顔。
頬を流れ落ちる涙の筋でさえ
輝いて見えて俺には眩しすぎた。
彼女は何故涙を流したのだろう?
優しく照れたように微笑んだ目は
心の中を見透かされているようで
不快感とも高揚感とも取れる
不思議な感覚が身体を走り抜けた。
マリアと会ってから1週間も経つのに
鮮明に憶う彼女の涼やかな声。
『こんにちはー。』
そう…こんな風に軽やかに…
『誰か居ませんかー?』
俺はハッとして
自動車の下から這い出る。
『はい!どうしましたか!?』
『きゃあっ!やだっ
そんな所にいらしたの?』
『すみません修理中だったもので…』