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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

慎二が言う2名の "信者" とは──「セイドレイ」のメッセージ経由でコンタクトを取ってきた男たちのことだった。

もちろん、亜美はそんな経緯をまったく知らされていない。

慎二は、動画を見て亜美に興味を示した2名の男とメッセージのやり取りを交わし続け、ついに今夜、実際に会うことになったのである。

まず1人目の男は、自身のことを「田中」と名乗った。
田中は、慎二の住む地域から少し離れたところに暮らしている独身の会社員で、歳は35才とのこと。
未だかつて彼女はおらず、また童貞であるという。

田中は、「セイドレイ」に慎二が投稿した動画を見てすっかりその虜となり、新しい動画がアップロードされるたびにダウンロード購入をするほどのファン、らしい。

また、田中は自身の容姿が比較的慎二と近しいことを自称しており、そのせいでこれまでまったく女性に縁がなかった。
しかし、亜美ほどの美少女と慎二が動画内でセックスをしているのを見て、自分にももしかしたらチャンスがあるのでは──と淡い期待を抱き、ほぼダメ元ではあるが意を決して慎二にメッセージを送ったそうだ。

田中の要求は、動画の少女──つまり亜美に、"筆おろし" をお願いしたい、というものである。

そんな田中は、メールでやり取りするうちに歳下の慎二のことを "師匠" と呼び、崇めるようになっていった。

そのことにたいそう気を良くした慎二は、田中と会う方向で具体的なやり取りを進めていく。
慎二はかつての自分と似たような境遇にある田中に親近感を覚えたことも、会ってもいいと思うようになった理由のひとつである。

その後もメールでのやり取りを重ね、会う日時と場所を決めた。

しかしさすがの慎二も、まだ田中のことを完全に信用していたわけではなかった。
かなり警戒心は解いていたものの、あんな動画サイトで知り合った男である。
そこで慎二は、自分の住まいの詳細は明かさぬまま、自宅と田中の家からちょうど中間地点の辺りで会う段取りにしたのだ。

そしてもう一点──、会うにあたっての条件として、亜美には "目隠し" をさせた状態であることを、慎二は田中に提示する。

これは、慎二なりにもしものリスクを最小限に留めるためと、変態的な性癖の両方を満たすものであったのだが──田中はこれを快諾した。


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