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僕と彼のイルミネーション
第3章  不協和音


「やぁっ、ダ、メっ、んっ はぁっ……」
 放出した精液が、自分の腹に飛び散る。
 程なくして龍もイったらしく、深い場所で溜息をついていた。
「んんっ……」
 嫌だと思っていたのに、挿入されてイってしまうなんて。恥ずかしさと後ろめたい思い。
 この街へ来て、十日余り。
 僕は、甘く見ていたのかもしれない。
 東京へ来れば、何かが変わる。そう考えていたのは全て幻。
 確かにみんな優しいと思った。でもそれは表の顔で、裏の顔があるのかもしれない。
 信じていた龍にだって、裏切られたよう。
 それは、信じていた僕が馬鹿だっただけ。
 彼が棚の箱ティシュを取り、何枚か僕の腹へ乗せる。それから自分の性器を拭き、そのティシュをゴミ箱へ捨てると、フラフラと部屋を出て行ってしまった。
 バタンとドアが閉まるのを聞き、ティッシュで腹を拭く。
 悔しさと哀しさと切なさ。色々な感情が入り混じり、いつの間にか泣いていた。
 龍だけは、信じていたのに。
「あ……」
 アナルから何か出てきて、新しいティッシュで押さえた。
 龍の精液。
 それを拭きながら、声を殺して泣く。
 拭いても、拭いても、精液は溢れ出てくる。
 体だけじゃなく、心まで犯されたようだ。
 シャワーに行きたかったが、今部屋を出れば龍と会うかもしれない。
 顔を合わせたくなかった。
 何と言えばいいのか、何を答えればいいのか解らない。
 これ以上、ここにいていいのだろうか。
 店でなら、ただの従業員でいればいい。日払いにしてもらい、またネットカフェに移る手もある。
 色々と考えながら、陽が昇る頃にやっと眠りについた。


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