この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater6.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕と彼のイルミネーション
第3章 不協和音
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
スマホからの音に目を覚ます。見ると、月曜日の昼。
こんなに寝ていたなんて、自分でも驚いてしまった。
熱っぽさも大分抜けたようだから、着替えを持ってシャワーへ向かう。
途中で通ったリビングのテーブルは、日曜日のまま。
僕の思いのように、時が止まったよう。
でもここで、逃げたくないと思った。僕にだって意地がある。
今度龍が部屋に入ってきたら、蹴飛ばしてでも抵抗すればいい。それで追い出されたら、出て行けばいいだけ。
シャワーを浴びてゆっくりと支度してから、マンションを出た。
仕事は仕事と、割り切ればいい。プライベートを引きずるのは、マンションでだけにする。そう決めた。
僕だって18歳の男だ。決められた事はきちんと熟さないと。
店まで歩いて行き、思い切ってドアを開けようとした。
開かない。少し早かったのだろうか。
仕方なく、“店”というタグの付いた鍵で開ける。
中には誰もいない。
エプロンを着け土曜に残した洗い物をしていると、龍と拓海が入って来た。
「おはようございます」
自分から言う。
「オハヨ」
「早いな」
一緒に来たのは、拓海の所へ泊ったからだろう。
龍はいつも通り。僕との事なんて無かったように、隣で仕込みを始める。拓海は掃除をしていた。
まだ看板も出していない、開店十五分前。
ドアが開いて入って来たのは、真琴。
「マコちゃん。まだだぞ?」
龍に言われても気にせず、カウンターの隅へ座った。
「一人?」
拓海に訊かれても、真琴は何も話さない。
掃除用具を片付けた拓海が、手を洗ってから真琴の隣へ座る。
「呑みたいだけ」
「ホラ」
言いながら龍がボトルとグラスを出したから、僕はアイスとミネを出す。
真琴は溜息をついている。
街で会った時も店でも、あんなに元気だったのに。
それに龍は、“土曜の常連”と言っていた。今日は月曜。涼介もいない。
「呑みたいだけだってば」
「明日、大学だろ?」
言いながら、拓海が薄めの水割りを作る。
真琴はそれを一気に飲み干すと、拓海の前に置く。
「もっと濃くしてよ」
「ゆっくり呑めよ」
拓海は自分の分も作り、乾杯してから呑み始めた。
僕は急いで、龍が作ったチャームを出す。
何だか、みんなの様子がおかしい。
![](/image/skin/separater6.gif)
![](/image/skin/separater6.gif)