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僕と彼のイルミネーション
第4章 訪問者
「なんだよ、瑞希! コレ、どかせよっ」
龍の声に、体を起こす。
今日は暴れてでも、絶対に抵抗してやる。
「瑞希―!」
聞こえてきたのは、真琴の声。
驚いて、チェストを元の位置へ戻した。
「わりい。マコちゃんと寝てくれ。もう一部屋はベッドが無いし、物置になってんだよ」
「瑞希―。一緒に寝よー」
「ええっ?」
真琴は、すぐベッドに横になってしまう。
お互いに小柄で細身だしベッドが大きいから、寝る事自体に問題は無い。でも、どうしてこんな時間になのか不思議だ。
「あの後、どっかで呑んでたらしい。いきなり来たんだよ。お前らなら、平気だろ? おやすみー」
ドアが閉まり、龍は行ってしまった。
「真琴さん?」
もう寝ている。それも最初の僕と同じように、シャツとジーンズのまま。
相手は酔っている。また、いつ襲われるか分からない。それなのに、龍は何を考えているんだろう。
僕なら、誰とでも寝ると思われてしまったのか。
仕方なく、真琴に背を向けて横になった。
疲れて眠りに着くと、後ろから回された手に驚いて目を開ける。
「真琴、さん……?」
少し体をズラして見ると、彼は眠ったまま。仰向けになると、膝まで載せられた。
まるで、僕は抱き枕。
同じような体格の真琴なら、もしもの事があっても抵抗出来るだろう。
溜息をついてから、また目を閉じた。
昼になって起き、真琴の手足をどかして体を起こす。
「ん……?」
目を擦ってから大きな欠伸をして、彼も起き上がった。
「そっか……。瑞希、おはよう……」
真琴は、欠伸をしながら部屋を出て行ってしまう。僕もゆっくりと後を追った。
「あっ。龍。おはよう」
「オハヨ、マコちゃん。よく眠れたか?」
「んっ。あっ……」
どこかから、スマホの着信音が聞こえる。
「きっきから鳴ってんぞ。鞄の中か?」
「うん。そう」
真琴がスマホを取り出した時には、もう切れていた。
「ヤベっ。涼介からだ……」
「龍、おはよう……」
「おっ。瑞希も眠れたか?」
冗談じゃない。真琴は良かったかもしれないが、僕は一晩中抱き枕代わり。
「いいのか、大学」
「良くない……。けど、もう遅いや」
真琴はスマホの電源を切って鞄へ戻した。