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僕と彼のイルミネーション
第1章 繁華街
それなら、僕でも働けるかもしれない。
「俺は、龍。さっきも言ったな。26歳。この店を初めて四年。もう一人、バイトもいるから」
「はい……」
「じゃあまず、ウチ行くか。荷物は?」
荷物はネットカフェに置いてあるが、キャリーバッグ一つだけ。
それを話すと、傘を渡されて外へ出た。
振り返ると、店の看板には“フェリータ”と書いてある。
大通りでタクシーに乗り、一度ネットカフェへ。荷物を取り、またタクシーで向かったのは大きなマンション。
十階建ての五階までエレベーターで行き、一番奥の部屋へ入った。
玄関を抜けると、ソファーセットなどがある広いリビング。その奥はキッチンになっているよう。廊下を進み、龍がドアを開けた。
「ココ、自由に使っていいから」
家具やベッドがある部屋。大きな窓があり、ネットカフェよりずっと居心地が良さそう。
「俺の寝室は、一番奥。なんかあったら、声かけろよ。あ、まずはシャワーだな。着替え持って来いよ」
「はい……」
キャリーバッグから着替えを出し、龍の後を着いて行く。
「風呂。湧いてねえけど、この季節ならシャワーでいいよな?」
「はい……」
「覗かねえから安心しろ」
悪戯っぽく言うと、彼は行ってしまった。
少しの間呆然としていたが、急いで服を脱いでシャワーを浴びる。
いきなりの出来事に、まだ頭が着いてこない。
住む場所と、仕事が一度に決まった。それは嬉しいが、本当に大丈夫なんだろうか。
不安と安心が、入り混じった状態。
取り敢えずは、今日店に行ってみればいい。龍は、普通の呑み屋だと言っていた。もしも変な所だったら、逃げればいい。
ネットカフェにも有料のシャワーはあったが、狭くて身動きしづらかった。久し振りに広い浴室でシャワーを浴びてから、着替えてリビングへ行く。
「俺も入るかな。部屋にドライヤーがあるから、髪、乾かしとけよ。服はそのままで店に出られるから」
「はい……」
浴室へ行く龍を見てから、与えられた部屋へ戻った。