この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕と彼のイルミネーション
第6章 2人
周平の言葉に、涼介が真琴を追う。
真琴はもう外へ出て行ったが、僕も気になって、龍を見てから涼介に着いていく。
僕のせいだ。余計な事をしたせいで、余計にこじらせてしまった。
速足の真琴に追いついた涼介が、腕を掴んで止める。
「マコちゃん。どうしたんだよ?」
僕は少し離れた場所から見守るだけしか出来ない。
「涼介が悪いんだろっ!」
真琴の声に、通行人の視線が向けて行く。
涼介が真琴を路地へ引っ張って行ったから、角から覗き込み2人の様子を見ていた。
「マコちゃん……」
「涼介が、あんな事、するからだろ……」
涼介は黙ってしまう。
僕を口説くと言ったのは、真琴を忘れる為だろう。でも結局、その行動に真琴は傷付いているようだった。
仲裁に入るのも憚(はばから)れる。
「何で、瑞希だけを、呑みに、誘ったんだよ……」
「それは……」
「オレが嫌なら、ハッキリ言えよっ!」
真琴が涼介の腕を振り払うと、涼介の腕が力なく落ちる。
「マコちゃん。俺は……」
「それだよっ! 瑞希は“瑞希”で、何でオレは“マコちゃん”なんだよっ!」
「マコちゃんが、前に言ったろ? “真琴”って呼ぶのは、店の人か、彼氏だけだって……」
真琴が溜息をついた。
「あの時……。謝ったのは、無かった事にして欲しいって、意味だろ。だからオレだって、涼介とは、友達でいなくちゃって……」
「あの時……?」
少し考えた後、涼介は思い出したような表情になる。
僕に意味は解らないが、2人は過去に何かあったのだろう。
「あれは……」
「何だよっ! そうやって涼介は、いつも誤魔化すだろ?」
真琴が、下から涼介を睨みつける。
「だって……。あの時は……」
「涼介のバカっ!」
走り出そうとする真琴の腕を掴むと、引き寄せた涼介が抱きしめた。