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僕と彼のイルミネーション
第6章  2人


 周平の言葉に、涼介が真琴を追う。
 真琴はもう外へ出て行ったが、僕も気になって、龍を見てから涼介に着いていく。
 僕のせいだ。余計な事をしたせいで、余計にこじらせてしまった。
 速足の真琴に追いついた涼介が、腕を掴んで止める。
「マコちゃん。どうしたんだよ?」
 僕は少し離れた場所から見守るだけしか出来ない。
「涼介が悪いんだろっ!」
 真琴の声に、通行人の視線が向けて行く。
 涼介が真琴を路地へ引っ張って行ったから、角から覗き込み2人の様子を見ていた。
「マコちゃん……」
「涼介が、あんな事、するからだろ……」
 涼介は黙ってしまう。
 僕を口説くと言ったのは、真琴を忘れる為だろう。でも結局、その行動に真琴は傷付いているようだった。
 仲裁に入るのも憚(はばから)れる。
「何で、瑞希だけを、呑みに、誘ったんだよ……」
「それは……」
「オレが嫌なら、ハッキリ言えよっ!」
 真琴が涼介の腕を振り払うと、涼介の腕が力なく落ちる。
「マコちゃん。俺は……」
「それだよっ! 瑞希は“瑞希”で、何でオレは“マコちゃん”なんだよっ!」
「マコちゃんが、前に言ったろ? “真琴”って呼ぶのは、店の人か、彼氏だけだって……」
 真琴が溜息をついた。
「あの時……。謝ったのは、無かった事にして欲しいって、意味だろ。だからオレだって、涼介とは、友達でいなくちゃって……」
「あの時……?」
 少し考えた後、涼介は思い出したような表情になる。
 僕に意味は解らないが、2人は過去に何かあったのだろう。
「あれは……」
「何だよっ! そうやって涼介は、いつも誤魔化すだろ?」
 真琴が、下から涼介を睨みつける。
「だって……。あの時は……」
「涼介のバカっ!」
 走り出そうとする真琴の腕を掴むと、引き寄せた涼介が抱きしめた。


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