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僕と彼のイルミネーション
第6章 2人
驚いて一瞬隠れたが、ゆっくりとまた覘く。
「あの朝、ごめんて、言われたから……。オレが好きで、ヤったんじゃないと、思ったから……」
「違うよ。マコちゃんから、誘ってきたから……。俺は、ただの、遊び相手なんだと思って……」
「あの時が、初めてだよ……」
涼介の驚いた顔。
「その後すぐ、マコちゃんは、彼氏を作ったし……。そいつと別れてから、今まで何人もと……」
「いつも、させないから、別れるんだよ……」
「えっ?」
体を離した真琴が、涼介を見つめる。
「付き合っても、部屋に行っても、ヤらせなかったから……。今までオレが抱かれたのは、涼介だけだよ……」
詳しい経緯は解らないが、3年近くもの間、2人の気持ちはすれ違っていた。それだけは理解出来る。
涼介は、ずっと真琴を想っていた。真琴も同じように。
お互い想いを口に出来ないまま、長い時が過ぎてしまっただけ。
「誰かとヤって、涼介を忘れようとは思った。でも、ムリだった。出来なかった……」
2人のキスシーンを見て隠れたが、いつの間にか来ていた2人に見つかってしまった。
「瑞希……」
「瑞希っ、盗み聞きしてたのかよ」
「えっと……」
誤魔化しようがない。でも、2人が上手く行って良かった。
「呑み直そうよっ」
「マコちゃ……。真琴」
「ん?」
真琴が笑顔になる。
「呑むのはいいけど、水割りにしろよ? それと、席は離れるなよ」
「解ったー。戻ろう。瑞希もっ」
いつもの2人に戻ってホッとした。
僕のした事が正解だったかは解らないが、上手く収まってくれて嬉しい。
「ただいまー」
真琴が明るく店へ入って行き、笑顔でカウンター席へ座る。隣に座った涼介も嬉しそうだった。
「仲直り出来たみたいだね」
周平に言われると真琴は頷き、涼介は少し照れている。
中で調理をしていた龍は何も言わないが、穏やかな表情。
僕の想像でしかないが、会って間もない頃に、真琴と涼介はセックスをしたのだろう。真琴から誘われるままに。でも想いを告白しないままだったから、お互いにすれ違っていた。
やはり、恋愛は複雑だ。
2本のボトルには、“真琴・涼介”というタグが付いた。