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僕と彼のイルミネーション
第7章  写真



「いらっしゃいませー。あれ? 1人? 店、やってる時間だよね」
 入ったのは、周平の店。
 丁度周平が入口近くにいて良かった。
「ジュースだけでも、いいですか? 話が、あるんですけど……」
「構わないけど……。ちょっと待ってて」
 持っていた料理を客へ出すと、周平に「他へ行こう」と言われて店を出る。
 この店は従業員も多くて、周平が抜けても大丈夫なようだ。
 連れて行かれた路地裏の店は、何となく怪しそうな店。
「ウチとは違う感じだけど、変な意味で来たわけじゃないからね」
「はい……」
 店内は、フェリータよりずっと暗い。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」
 黒服に案内されたのは、仕切りのある小部屋。気を付けないと、暗いから段差で躓きそうだった。
 頼んだジュースと水割りが運ばれると、カーテンを閉められる。
「ここって……?」
「んー。基本的には、カップルで来る店かな。従業員や、他の客から見えないからね」
 恋人同士で来て、何をしても自由という意味だろう。
「話って? ここなら、誰にも聞かれないよ。深刻そうな顔だから」
 周平の店や他の呑み屋で話せば、誰かに聞かれるのを気にしてくれたのだろう。
「あの……。周平さんの店で、雇ってもらえませんか?」
「どうしたの? フェリータは、いい店だよね? 従業員が少なくて、忙しすぎるのが嫌?」
 首を振る。
 それにはもう慣れてきた。拓海に怒鳴られるのも、僕がボーっとしていたせいだし。
「周平さんの所は、寮があるって聞いたから……」
 昨日店に行った時、会話の中に出ていた。
「龍が嫌い? 龍のマンションにいるんだよね」
 何も答えられなくなってしまう。
 マンションを出たいほど龍が嫌いかと訊かれれば、そうじゃない。
「ウチでは、雇えないよ。龍の所の子なんだから。他の店は紹介出来るけど、やたらと店を移ると、どこも雇ってもらえなくなっちゃうよ」
「あの……」
 周平は優しい表情で見てくれるが、次の言葉が出なかった。
 写真の少年を、周平は知っているはず。僕を初めて見た時、反応がおかしかった。
 写真の少年は、龍の恋人だったのか。拓海はそれを知っているのか。昨夜の龍は、どこへ泊ったのか……。
 訊きたい事は、たくさんあるのに。




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