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僕と彼のイルミネーション
第7章  写真



「お腹が、空いてた、だけです。マンションで、食べてきました。だから、もう大丈夫です」
 苦しい言い訳だが、それしか浮かばない。
 龍と拓海は、どんな意味に取っただろう。でも龍は笑い、拓海は呆れた表情。
 それからは、きちんと仕事を熟した。
 自分が写真の少年の代わりなのかは、まだ解らないまま。龍と拓海の関係も、龍と周平の関係も。
 でもそれは、僕には関係ないのかもしれない。邪魔さえしなければ、どんな関係でも問題は起こらないだろう。


 店が終わって龍と一緒にマンションへ帰ると、リビングで小さな袋を渡された。
 受け取った時に、ガシャという音。
「何?」
 言いながら開けると、中に入っていたのは鍵とネジ。鍵といってもキーではなく、取り付け式の本体の方。丸い金具を穴に通して捩じるだけの、簡単な物。実家の物置にも着いている。
 龍は、棚の奥から工具箱を出してきた。そこからドライバーを出し、一緒に僕の部屋へ行く。
「今は入るぞ?」
「うん……」
 ドアノブの少し下へ鍵を当て、押さえるように言われた。そのままでいると、龍が4隅をネジで留めていく。
「マンションなのに、いいの?」
「ここは、親父の持ち物だよ」
 今まで知らなかった。広いマンションで、家賃が高いだろうと思っていたのに。中退だが、龍も元医学部。医学部へ入るには学力は勿論、凄い金額がかかるとは聞いていた。
「よし。出来た。これで、安心して眠れんだろ? もし何かあった時出やすいように、簡単な方がいいと思って」
 着いたのは、内鍵。これだと、外からは開けられない。
「安心して寝れば、疲れも取れると思ったから。昨日の昼間に買っといた」
 確かに、僕はあの夜から龍を警戒していた。物音が聞こえる度、目が覚めたりもして。
「メシ喰ってなかったからって、ウソだろ?」
「え……」
「あんなウソ、拓海だって気付いてるよ。じゃあな」
 笑ってから、龍が出て行く。
 やっぱり、バレていたのか。でも、その後の仕事に支障は無かった。拓海にも怒鳴られなかったし。
 真琴と涼介は落ち着いた。
 後知りたいのは、写真の少年の事だけ。


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