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僕と彼のイルミネーション
第8章 困惑
「疲れたあー……」
営業が終わると、真琴でさえ元気無くソファーに倒れ込む。
「龍っ、拓海っ! 今日はどうしたんだよおっ!」
今日だけじゃなくて昨日から。その理由は僕も聞きたい。
「マコちゃん、涼介、わりいな。ボトル2本入れとくから」
「ラッキー」
言いながらも、真琴はソファーから起き上がらなかった。
みんなもソファーで休んでいたが、涼介だけはまだ洗い物をしている。手伝わなくちゃとは思ったが、昨日からの疲れで体が重い。
「すいません。涼介さん……」
「平気、平気。慣れてるから」
「え?」
龍が煙草に火を着けると、拓海も自分の煙草を出す。
「瑞希、知らなかったっけ? 涼介んちが呑み屋なの」
真琴がソファーを這って近くへ来た。
「そうなんですか!?」
「キャバクラだよ。高校の時から、週1で手伝ってるから」
キャバクラという事は、女性が男性を接客する店か。
「だから接客じゃなくて、カウンター内だけどね」
洗い物を終えた涼介が、エプロンで手を拭きながら丸椅子へ座った。
「涼介の姉ちゃん、凄い美人だよなあー。スタイルもいいしー」
「化粧が上手いんだよ。言ったら殴られるけど。店で働いてるし」
「そうなんですか……」
僕は、みんなの私生活も知らない。真琴については、涼介から少し聞いたが。でも、探りたいとまでは思わなかった。
「拓海。今日、来いよ……」
「解った……」
龍が誘うという事は、拓海がマンションへ来るのだろう。
「オレも行きたーい。瑞希と寝るー」
「真琴は黙ってろよ」
涼介に窘められ、真琴はやっと体を起こした。
「じゃ、帰ろう。涼介。ウチ行こうっ。誰もいないしー。いつもの事だけど」
「お疲れ様です」
2人はエプロンを外すと、笑顔で店を出て行く。
「……行くなら、さっさと行こうぜ」
拓海もエプロンを外し、鞄を持ってくる。
龍に続いて僕も支度をすると、一緒に店を出た。