この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
僕と彼のイルミネーション
第9章  決心


 物腰が柔らかいとは思っていたが、ずっと年上だから、勝手にタチだと思っていた。
 拓海もそうだが、見かけだけじゃ解らない。
「後は、広希の事だろ?」
 その名前を聞くと、何故か胸が痛む。
 龍は今もヒロキを忘れられず、名前が出ただけでその店へ行こうとした。
 僕にそっくりなヒロキに会いに。
「龍は、まだ広希が好きで追っかけてるんじゃねえからな」
 さっきから話しているのは、拓海ばかり。龍は視線を落としている。
「そうだろ? 龍。ハッキリ言えよ」
「ああ……」
 それ以上龍は何も言わない。代わりに拓海が口を開く。
「広希は龍を騙して、金を持ち逃げしたんだよ。それは、ここにいる全員が聞いてる」
 真琴の溜息が聞こえた。
「確かに可愛かったけど、性格は瑞希と全然違うよなあ。涼介にまで、色目使ったりしてさあ」
「だからオレも最初は、お前を働かせるのに反対だった。見かけが似てるから、また騙されると思って。龍は人がよすぎるから」
 言ってから、拓海が冷蔵庫から人数分のビールを持ってくる。
「1年くらい付き合って、フェリータでも働いてた。ある日突然いなくなって、金庫の金も、全部なくなってた。俺の貴金属も……」
 龍の悔しそうな声。
「お前がいないのに気付いた時、真っ先に金庫を見た。そんな自分にも、腹が立った……」
 1度そんな目に遭えば、仕方がないだろう。
「店に来たから、安心はした。でも……」
「じゃあ、あの女の人は? 夜中に訪ねて来るなんて。龍も、楽しそうに呑んでたみたいだし……」
 この際だから全部言ってやりたくて、責めるように言ってしまった。何をしようと、龍の勝手なはずなのに。
「女?」
 拓海が眉をひそめる。
「薫(かおる)だよ……」
 龍が呟くと、真琴が笑い出す。
「涼介の姉ちゃんじゃん。店が終わった後、来たんだろ? たまに来てんだよね?」
「店で酔うと、解ってくれる誰かと、話したくなるから。龍、ごめん……」
 何故か涼介が謝っている。
「薫はビアンだよ。なあ、涼介」
「ああ」
 レズビアンの事。それなら、同じ女性にしか興味がないはずだ。
 何だか色々ありすぎて混乱してくる。


/75ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ