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僕と彼のイルミネーション
第9章  決心


 龍が黙ってしまうと、周平がビールを呑む拓海越しに龍の肩を叩く。
「龍も、素直にならないと。みんな。そろそろ失礼しよう」
「ああ。帰ろう。龍。後は、ちゃんと全部話せよっ」
「ああ……」
 涼介が眠りかけの真琴を起こす。
「真琴、帰るぞ?」
「ん……。ウチまで連れてって……」
 それぞれに挨拶をして、みんなが帰って行く。
 今まで騒がしかったせいで、リビングが余計に静かになる。
「龍。どうして、僕を探したの? 店にも、ちゃんと出るのに……」
 彼は無言のまま。
「何も言ってくれないなら、何度でも出て行くよ……」
 龍はいきなり立ち上がった。
「決まってんだろっ!」
 そう言って、僕の隣へ座ってくる。横を向かれると、表情も見えない。
「何が……?」
 ネットカフェで会った時、5件目だと言っていた。安い場所を探したから、店からもこのマンションからも遠いのに。
 そこまでして探してくれた事に、内心期待してしまう。
「解るだろ……。好きなんだよ、お前が……」
「ヒロキに、似てるから?」
「違う! 全然違う!」
 振り返った龍に一瞬見つめられ、抱きしめられた。
「確かに、最初は似てると思った……。でも、中身は違う。瑞希は瑞希だ」
「じゃあ、どうしてミラージュに行こうとしたの?」
「モンクくらい、言ってやりたかったんだよ。騙されたままじゃ、悔しくて……」
 龍の気持ちも解るが、もう関わって欲しくない。
「で……?」
「え?」
「告白、したろ。返事、しろよ……」
 最初は優しい人だと思った。仕事も、住む場所も与えてくれて。でも無理矢理犯された時、それが目的だったのだと軽蔑した。
 自立しようと考えマンションを出て、フェリータでの給料を頼りに生活しようとしたが、思うのは龍の事ばかり。
 ネットカフェで彼に名前を呼ばれた時、無意識にドアを開けていた。
 僕は心のどこかで、龍を求めていたのだろう。
「好きだと、思う……」
「いいよ。それでも。これから、夢中にさせてやるから」
 体を離した龍が顔を近付けてきて、自然に目を瞑った。
 触れるだけのキス。
 その後、強く抱きしめられる。
「拓海さんとは? 周平さんとは? どうして、仲が良いの?」


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