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僕と彼のイルミネーション
第2章 色々な出会い
翌日、スマホの目覚ましで昼に起きる。
昨日からの出来事が嘘のよう。夢じゃないかと考えたが、寝ていたのは立派なベッド。
今日も仕事だと思うと緊張はしても、安心感の方が強くなっていた。
この街で、生きて行かれる。
今は居候だが、そのうちにマンションも借りられるだろう。一日九時間で、九千円。日曜祝日は休みだから、二十日働けば二十万近くにもなる。税金を引かれても、僕にはかなりの額だ。
「起きてっか―」
龍の声とノック。
「うんっ」
急いでドアを開けると、彼からはもうシャンプーの香りがしている。
彼に全身を眺められた。
「お前、それで寝たのか?」
ネットカフェでの癖もあったが、パジャマは持っていない。疲れていたせいもあり、昨日着ていたシャツとジーンズのまま。シャツはシワになっていた。
「シャワー浴びて、着替えろよ。買い物に行くから」
「うん」
「脱いだ服は、洗濯機の横のカゴに入れとけよ」
頷き、キャリーバッグから新しい服を出す。そのまま浴室へ行った。
言われた通り洗濯物はカゴへ入れ、シャワーを浴びる。昨日より、気持ちいい感じがした。
不安が減ってきたお蔭だろう。
まだ完全に安心とは言えないが、店やマンションでも、色々と出来るようにならなければ。
目標が出来たというのも大きい。
田舎を出てからの一週間は、悩んでばかりいた。
実家は継ぐような稼業じゃないが、二つ上の兄がいる。家を継ぐのは長男でいいだろう。僕はもう、実家へは帰らない覚悟で出てきた。
新しい服に着替えてリビングへ行くと、龍は待っているよう。急いで髪を乾かし、一緒にマンションを出た。
タクシーで着いたのは、ファストファッションの店。今まで、テレビでしか観た事が無い。
「お前、サイズは?」
「え? S……」
「なら、上はМのがいいな。可愛いから、少し大きめの方が似合うぞ」
また、“可愛い”と言われてしまった。でも、仕方ないんだろう。“格好いい”と程遠い容姿なのは、自分でも解っている。
「コレなんてどうだ?」
シャツを見せられた。
僕には少し大きいが、背の高い龍には小さいだろう。
「イヤか? お前に似合うと思うんだけど」
「えっ?」
「お前の服だぞ?」