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僕と彼のイルミネーション
第11章 イルミネーション
東京に来てから約5ヶ月。幸せだと、時の流れを早いと感じる。
今日はクリスマスの上祝日だから、店は早くから満席。
店内もクリスマス用の飾り付けで、赤と緑のライトが光っている。
「無くなっちゃいましたね。同じのでいいですか?」
客が笑顔で頷くのを見て、新しいボトルを入れた。
僕ももう、仕事は完璧に近い。拓海を怒らせる事も無くなってきた。たまには、席へ着いたりもしている。
龍がキスで恋人宣言して以来、からかわれるのも多かったが。
でも、それも楽しいと思える。
「メリークリスマス!」
入って来たのは真琴。そのすぐ後ろには涼介。
「いらっしゃい。マコちゃん。ゴキゲンだなあ」
出迎えた龍に、真琴は満面の笑み。
「ん。イルミネーション、見てきたんだー」
そう言いながら、真琴は予約していた席に座る。
「今晩0時まで、大通りでやってるよ。真琴が、腕組んでくるから。すれ違う人に見られて。特に女の子達が、キャーキャー言っててさ」
真琴の隣へ座った涼介は、苦笑気味。
「アレだろBLってヤツ。男同士の恋愛が好きな、腐女子(ふじょし)。いいじゃん。オレもたまにネットで読むし」
実は僕も、ネット漫画を読んだ事があった。
それが現実だと思い込んでいたから、夢を見すぎてこの街へ来たのもある。
「凄く綺麗だったー。光のアーチの中を歩けてさ。龍も瑞希と見に行けば?」
「俺達は仕事だよ」
会話を聞きながら水割りを作り、溜息を飲み込んだ。
涼介は0時までと言っていたが、この店は2時までの営業。満席の客を放って、見に行くなんて出来ない忙しさ。
僕の田舎町では、そんな物見た事もない。テレビで観ていて憧れはあったが、店の方が大事だ。
「カンパーイ!」
真琴がグラスを上げると、涼介が僕にジュースを勧めてくれる。急いで作ってから、3人で乾杯した。
その後も店の忙しさは続き、営業が終わったのは3時近く。
僕と龍の事を知って以来、拓海はいつも先に帰ってしまう。でも今日はクリスマスだから、周平と用があるのかもしれない。
「龍。お疲れさま」
「ああ。ちょっと、ココ座れよ」
ソファーに座った龍の隣を示された。