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舞い降りた天使
第7章 桜


『さっちゃんのお兄ちゃん』

そう言われて
俺の胸がチクリと痛んだ

タクニイと呼んでくれと言ったのは俺だし
お兄ちゃんだって立派な家族だ
さっちゃんも気に入ってくれたようで
ニコニコと笑う

でも違うんだ

俺は
真穂が好きなんだから


「タクニイバイバイ」

駐車場に着くと
さっちゃんは恥ずかしそうに
そう言って手を振ってくれた

「さっちゃんまた明日ね」

「うん」

「じゃ、徳永さんもまた明日。
気をつけてね」

「ありがと。
栗原くんも」

「…うん」


別れ際というのは
寂しいもので
2人を乗せた車が見えなくなると
突然孤独感が俺を襲った

恋人が居なくても平気だったのに
好きな人ができると
どうしてこうも
一人が寂しく感じるんだろう

手の届くところにいるのに
好きとは言えず
誰にも真穂のことを
話すこともできない

さっちゃんと仲良くしている真穂を見ると
本来、2人の側にいるのは
さっちゃんのパパであり真穂の旦那
そう思うと
おさまっていた嫉妬まで
メラメラと湧き上がった


そんな俺は
部屋に帰ると
ベッドにダイブして
布団を抱きしめていた


それにしても
さっちゃんと真穂は
本当に仲が良さそうだったな

さっちゃんを見る真穂の目は
めちゃくちゃ優しくて
あんな母親だったら
俺の人生
変わってたのかな…


そんなことを思ったのは
久しぶりだった


俺に
真穂のような優しい母親の記憶はほとんどない

あるのは
必死で面倒を見てくれた
姉ちゃんだけだ

両親は仲が悪く
母親は俺達の世話を嫌っていた
母親が家から居なくなったのが
いつからなのかも
はっきりとは覚えていない
あったかい手料理なんて
見たこともないまま
俺達は育ったんだ

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