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舞い降りた天使
第16章 空港

「俺、これで終わりとか思ってないから」

「……」

「じゃあまたな
とか、俺言うつもりないし
たまに会ってセックスしようぜとか
言うつもりもない」


そこまで伝えると
黙ったままの真穂の目に
涙が浮かんだ

大丈夫だよ真穂
もう離れないって意味なんだから


「俺、本気だから。
真穂とさっちゃんを連れて帰る」


「えっ…」


「俺と一緒じゃ嫌?」


「嫌なわけない。
嬉しいよ、すごく嬉しい。
でもそんなことしたら
巧くんに迷惑が」

「迷惑なんて一つもない」


「巧くん…」


「でもひとつ聞いていい?」


「……何?」


「そんなことしたら…
さっちゃんは嫌がるかな」


俺がずっと気にしてることだった

こんな大事なこと
大人が勝手に決めて大丈夫なのかって…

すると真穂は
俺を見つめたまま首を横に振り
そして俺の手を握りしめた


「桜は巧くんのこと大好きだし
あの人と離れてでも
前の学校に戻りたいと思ってるの。
桜もきっと喜ぶと思う。
でもね巧くん、
私、巧くんのお姉さんに申し訳が」

そこで俺は真穂の言葉を遮った

「じゃあ決まりだ。
さっちゃんがOKなら何も問題ない。
まだ間に合う。
今日の最終便に乗ろう」

「えっ、今日?」

「旦那、会社か?
俺が話をつける」


すると真穂は
しばらく黙ったまま時計を見つめ
そして
ポツリと呟いた


「巧くんが今日来てくれたのは
運命なのかもしれない」



「えっ?」




「あの人
明日まで出張でいないの。

今日しかないのかもしれない。

私、もう



あの人のところに
戻りたくない…」
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