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舞い降りた天使
第1章 レモングラス
「夜一緒にいてあげるとか
お迎えに行ってあげるとか
当たり前みたいに言ってますけど
それって
大変なことじゃないですか。
だから徳永さんは
いいお母さんだと
僕は思いますけど」


その言葉に
私は言葉を失い
一気に涙が込み上げてきた


だって

そんなこと言われたの
初めてだったから


そして
それと同時に
私の脳裏には
大野先生の言葉が駆け巡っていた


『当たり前です。

みんなやってることですよ!

どうして
できないんですか?

しっかりして下さい、徳永さん』


私はいつも
点数をつけられてるような
毎日を過ごしている

頑張っていても
結果がでなければ
お母さんとして…0点

100点に程遠い私にとって
栗原くんの
『当たり前じゃなく大変なこと』
という言葉は

あまりにも優しかった


「あ、すみません。
お迎え遅くなっちゃいますよね。
邪魔しちゃってすみません。
お疲れさまでした。
早くお迎え行ってあげて下さい」


「あ、うん、でも大丈夫。
時間はまだ余裕あるから。
それより
ハーブティー美味しかった。
ありがとね」


なんとか涙を堪えて振り向き
栗原くんに笑顔を見せると
栗原くんは
チラッと私のデスクに置いてある
桜の写真を見て
優しくニッコリと笑った


「可愛いですね。
徳永さんによく似てる」


「あ、ありがと。
じゃ、じゃあお先に。
栗原くんは…
お仕事頑張って」


「はい」

栗原くんは
ただ笑顔で返事をしてるだけ

それなのに
栗原くんは
とてもキラキラしているように見えた


そして

栗原くんがキラキラすればするほど

自分が…

とてもくすんで思えた



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