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舞い降りた天使
第1章 レモングラス

それから私は
栗原くんを避けるようにして
事務所を後にした

駐車場に向かう足は
急がなくてもいいのに
早足になる

早く
車に乗らなきゃ

早く…早く

早くしないと


泣いてしまいそう


栗原くんの
優しい言葉を思い出したからか

それとも
自分があまりにも
くすんで思えたからなのか

車に乗るころには
もう
涙が溢れていた


大野先生に注意されたことを
また思い出したからかもしれない


栗原くんが
言ってくれたようなことを
どうしてパパは
言ってくれないんだろうって
悲しかったのかもしれない


理由はわからない

わからないけど

私は一人
車の中で堰を切ったように
涙を流した


声が漏れるほど
制御することなく
涙を流したのは久しぶりだった


栗原くんの
優しい言葉をきっかけに
頑張らなきゃって張り詰めてたものが
崩れてしまったのかもしれない


もっと優しくされたい
誰かに助けてもらいたい

せめて

話だけでも聞いて欲しい


私は泣きながら
そんな感情が生まれているのを感じていた
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