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舞い降りた天使
第1章 レモングラス

昨日美味しいって言ったから
置いてくれたのかも

どこまでも優しいな
栗原くん

将来、あんな子が
桜の彼になってくれるといいなぁ…

なんて考えながら
私は
その小さな袋を開けて
少し顔を近づけた

レモングラスの香りを
嗅いでみたかったのだ

と、その時

「徳永さん、もう来てるんですか?!
なんだもっと早起きすれば良かったー」

声の方に目を向けると
そこには
そう

栗原くんが立っていた


え?
なんでこんな早く?

というか
今見られてた?
匂いを嗅いでたの
見られたよね!!
恥ずかしいんだけど!

私はそれを誤魔化すように
急いで話し始めた

「い、今来たところなの。
栗原くんは?早くない?
いつもこんなに早くは…」

それなのに栗原くんは
私の話なんて聞いてないのか
どんどん私に近づき
そして
私の手からハーブティーの入った袋を取り上げてニコリと笑った

あ…エクボ…


「入れます?」

「え?」

「胃もたれしてません?」

「い、胃もたれ?」

そういえば…
最近あんまり食欲がないかも

「レモングラスは胃に優しいんです」

「そ、そうなの?」

「はい。飲みます?」

「あ、…はい」

「じゃ、いれますね」

「あ、いや私が」

「ついでです」


「あ…じゃあ…うん」


なんなんだろ…

栗原くんは
妙に楽しそうに
ハーブティーを入れ始め
そしてしばらくすると
カップを両手に持ち
満足そうに私のところへ戻ってきた



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