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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏
それから何日か彼を見かけることが多くあったが、なかなか声をかけられないで居た。彼も私のことを認識しているのか、目が合うことが頻繁にあった。けれど彼の周りにはいつも数人の友達がいて、気がつけば姿が見えなくなってしまっていた。
そして体育祭が終わり、数日経ったある日。
「 はぁ〜 あつい… 」
真夏の太陽の光が降り注ぐ暑い日。書道部と写真部を掛け持ちしていた私は、書道部の部活終わりにバス停の日陰で椅子に腰掛けバスを待っていた時のこと。
「 … っひゃ ?!」
突然、首筋に冷たい感覚がした為驚いて立ち上がった。振り向けば " 青山遙 " が袋に入ったアイスを片手に笑いを堪えている姿があった。冷たい感覚の犯人は、アイスだ。
「 っちょっと… !いきなり何よっ…?!」
『 っいや、… すげー驚くじゃんっ… 』
今にも吹き出しそうな彼は、私の反応を見て笑いを堪えているようだった。
「 そりゃ、いきなりヒヤッとしたら… 」
『 元気みたいで良かったよ 』
私の話の途中で、遙は口を開きそう言った。本当にそう思っているのか、思っていないのかわからないような表情で。
『 ほい、これ 』
その言葉と同時に、遙は持っていたアイスを私に差し出す。
「 へっ… くれるの?」
『 おうよ 』
「 わぁっ、ありがとう〜 」
とても暑く耐えれないな、と思っていた所をまさかこんな形で彼に二度も助けてもらうとは。差し出されたアイスを、私は遠慮なく受け取った。そして受け取った後の彼は、焼きそばパンをくれたときの表情と同じ笑みをこぼしていた。