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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏
先生の話を聞くと、私が倒れたところを一番に駆けつけて運んでくれたのが、他のクラスの " 青山遙 " という男子生徒だったらしい。
けれど私は彼の事を知らなかったので、翌日になって聞き込み調査を始めると、難なく彼を特定することができた。
隣のクラスの、" 人気者 " という事らしく知らない人は居ない様だった。お礼を言うために、私は昼休みに校内販売所で見つけた彼に、思い切って声をかけた。
「 あの、… 青山くんっ 」
『 ん、なに? 』
誰?とでも言うかの様に首を傾げる彼。
大きな瞳に整った顔立ち。
女性のようで、男性の色っぽさを持ち合わせていた。
「 … あ 、えーと… 」
そこで私の言葉が詰まってしまった。
もともと人見知りもあり、喋りが得意ではなかった私が、いきなり見ず知らずの男性に声を掛けるのは無茶だったのかもしれない。私の心臓はその時、物凄く高鳴っていたのを覚えている。
『 なに? 』
「 あの… 昨日は… 」
『 あー、昨日倒れた子?大丈夫だった? 』
彼は私の事を覚えていたようで、口早に私に声をかけた。長身というわけでは無いが、スタイルがいいのが制服越しでもわかった。
『 ま、体力付けろよ!これやるわ!』
ニコッと笑いそう言って彼は、手にしていた焼きそばパンをグッと私の両手に差し出す。
「 へっ、あっ… ちょっと… 」
彼の行動に驚いて、焼きそばパンを受け取ってしまった私。そんな様子を見て、彼は満足そうに笑みをこぼすと、友達の輪の中に消えていってしまった。