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最後の恋に花束を
第2章 高校一年の夏
「 会うたび会う度、なんか… ごめんね 」
彼が満足そうに微笑んだ表情を見て、焼きそばパンをくれた時のことを思い出し罪悪感が生まれてきた。
溶けかけのアイスを口に頬張りながら彼を見ると、彼もまた、溶けかけのアイスを頬張っている最中だった。
『 ん? なにがー?』
絵に描いたようなキョトンとした顔をする彼。
顔立ちがはっきりしているからそう思うのか。少年のような可愛らしさも、持ち合わせている気がした。
「 こないだも、パンくれたでしょ 」
『 ん? あぁー 』
彼は適当な返答をしながら、口めいっぱいにアイスを頬張ると、リスのようにモグモグしはじめる。
「 っ… ふふっ 」
そんな姿が可笑しくて、思わず笑いがこぼれてしまう。私が笑っている姿を、彼はどこか嬉しそうに見ては口をモグモグと動かしていた。
『 んっ、でも毎度じゃないだろ?』
アイスをゴクリと飲み込んだ彼は、言葉を続ける。
そしてペロリと自分の唇を舐めた。
その仕草に、少しだけドキリとする。
「 毎度じゃない?」
『 いや?こないだは、声を掛けられずに逃げられた 』
「 んん… ?」
その言葉に身に覚えが無い。あるとすれば、下駄箱で彼を見かけた時に目があった様な気はしたが、友達に呼ばれた私は足早にその場を離れてしまった時のことぐらいだった。